傑物の至言-27 Lou Reed(ルー・リード)

「ビートルズなんか好きだったことは一度もない」Lou Reed(ルー・リード)の至言

「ないよ、ない。ビートルズなんか好きだったことは一度もないから。ゴミだとしか思ったことがないから。じゃあ、誰が好きだったのかと訊かれれば、誰も好きじゃなかったっていうことだね」

ビートルズやジョン・レノンへの共感などはなかったのか、問われた時に答えて

『1987年、アメリカのPBSで放送されたインタヴューの一部より』

 この世にこんなにきっぱりとBeatles(ビートルズ)を否定してみせた発言があっただろうか。

 Beatles(ビートルズ)はとりあえず褒めておく、好悪を別にして特にロック界を変革した功績を認める。それが前提でこの星の音楽業界はここまで来た。

 そこまで言うからにはそれ相当の思い、覚悟が無くては言えない。それがこの星の掟のようにさえなっていた。

 それを知らなはずがないLou Reedはあっさりと否定し「ゴミ」と言い切った。軽く驚天動地の発言である。

 因みに私個人は、Beatles(ビートルズ)が決して「ゴミ」だとは思わないが、Lou Reedはそう言い切れる音楽を創造してきた。

 当然、いまさら炎上商法でも何でもない、さらっと「本当にそう思ってんだ。俺の音楽を聴いていればいい」と思ってのダイレクトな発言だろう。

1967年3月、Velvet Underground(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)のデビュー・アルバム『Velvet Underground and Nico(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ)』発表。 Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)のプロデュース。

バナナのジャケット。

 当時、他に並ぶものがない音楽として登場した。後に、いや今だにフォロワーを生み続けているアルバム。

4枚のアルバムを発表後、

1970年8月、Velvet Undergroundを引退。

ソロ・アルバム2作目の『Transformer(トランスフォーマー)』David Bowie(デヴィッド・ボウイ)、Mick Ronson(ミック・ロンソン=当時David Bowieバンドのギタリスト)プロデュースでチャートインするほどのヒットを記録。

そしてそして、1973年7月『Berlin(ベルリン)』でコンセプチュアルな世界を創出。まぁ聴いてみなはれ。

2006年に全曲ライブを演奏するほど自身にとっても格別な作品だろう。この時の模様は映像収録され各国の映画祭に出品された。

1974年『Rock ‘n’ Roll Anima(ロックン・ロール・アニマル)』は艶やかなRock ‘n’ Rollを奏でるライブ盤。

  同時代的にメディアがまともに付き合ったのはこの辺りまでか。

メディアは新たに(本当はたいして新しくもなかったが)登場するジャンルを追いかけること、レコード会社の「一押し」を紹介することに躍起となるが、ヒットを連発しないミュージシャンを追う為の真摯な評価軸を持たない。

 数字という誰にでもわかる軸を頼りに殆どのメディアは過大に、手放しにBeatles(ビートルズ)を讃え過ぎ、Lou Reedを評価しなさ過ぎた。数字以外の評価が出来なかった。

 それでいて、バイセクシャルだの、何回離婚しただの、Laurie Anderson(ローリー・アンダーソン)と結婚したらしい、そんなことだけは小まめにニュースになっていた。

ロックンロール・ソングってものを高めることだよ。いまだかつてない境地にまで持って行きたいっていうね。俺の個人的な意見として言わせてもらうけど、こう言うと傲慢なのはわかってるけど、ほかの連中の作品なんて俺たちの足元にさえ及ばなかったと思うよ。百歩譲ったとしても膝にさえ及んでなかったね。くるぶしにさえ来てなかったよ。ほかのみんなと俺たちのレヴェルを較べたらね。みんなのやってることは本当に悲しいほどにくだらなくて、気取ってるだけでね。

『1987年、アメリカのPBSで放送されたインタヴューの一部より』

2003年までほぼ3年開けずにスタジオ・アルバムを発表。

 メディアは「健在ぶりを示した」などの決まり文句で処理し続けた。

 駄作など一枚もないが、

1990年 『Songs for Dorella(ソングス・フォー・ドレラ)』John Cale(ジョン・ケイルVelvet Undergroundのオリジナル・メンバー)との共演

2003年『The Raven(ザ・レイヴン)』のとてつもない深海で奏でられたような音楽

等、強烈でいて単純にいかない太さと硬さが合わさってLou Reedの柔らかさ、妖艶さを産んでいた。無性に聴き返したくなる音楽の創造者。

結局、Lou Reedの音楽はあの声と言葉だった。

 どんな曲をもLou Reedの声が支配できた。Bob Dylan同様に。

スタジオとして8年開いた2011年ラスト・アルバムが『Lulu(ルル )』Metallica(メタリカ)との共演だったのには些か意外だったが、そこはLou Reed、誰と演ろうともやはりLou Reedの声があった。

因みに、Velvet Underground(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)ローリング・ストーン誌『歴史上最も偉大な100組のアーティスト』において第19位らしい。

『Velvet Underground and Nico(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ)』も同誌の『オールタイム・グレイテスト・アルバム500」』13位らしい。後から評価するのよね、大体がさ。

Velvet Undergroundとして1996年Lou Reed個人として2015年(死んだ後やんか)Rock and Roll Hall of Fame and Museum(ロックの殿堂)入り。

Lou Reed(ルー・リード)

1942/3/2-2013/10/27(享年71歳)

作詞家、作曲家、ギタリスト、ヴォーカリスト


The Velvet Underground \ The Velvet Underground, 1969 [Full Album]

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『けだし名言』

ただの名言、格言、金言じゃなく、本質に迫る言葉が『至言』。

ただの有名人、著名人じゃなく、怪物級、規格外の人物が『傑物』。

その『傑物』の『至言』が放たれた奥底に迫りたい。